「車庫飛ばし」という法律違反をご存知でしょうか。
詳細は後述していきますが、下記のように思っている人は車庫飛ばしに該当してしまう可能性があるため、キケンです。
- ナンバーの地名を好きな場所にしたい
- 古いディーゼルエンジンの車に乗っている
- 引越しをする予定がある
- 親族の誰かに車をもらうorあげる
どれかひとつは、今のあなたに該当していますよね。
そこで今回、元自動車ディーラーの営業マンをしていた筆者が車庫飛ばしについて、詳しく解説していきましょう。
内容自体はかなり分かりやすく単純ですが、きちんと理解しなければ罰則が適用される可能性があります。
なので、ぜひ最後までご覧になってスッキリしてくださいね!
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1.車庫飛ばしとは何か
車庫飛ばしを説明する前に、車検証の記載事項について説明していきます。
まず車検証上で記載されている「使用の本拠の位置」という部分があるのですが、確認してください。
これはあなたが車を購入した時に申請した「車庫証明の位置」なのですが、もし今使用している車庫=保管場所の位置が異なる場合、それは「車庫飛ばし」ということになるの
とはいえ駐車場の変更や転勤などに伴い、起きてしまいやすいんですよね。
つまり車庫飛ばしは「カンタンに誰でもできる」と言えるのです。
車庫飛ばしはカンタンにできる
車庫飛ばしの方法はカンタンで、ただ「購入当初の保管場所から変更する」というだけです。
そして車のナンバーの地名は「使用の本拠=申請した車庫の位置」に依存しています。
そのため地名だけを別の場所にしたい場合には、車を購入するときに「単純に任意の場所の車庫を一瞬だけ借りる」というだけで完了するのです。
ただ、車庫飛ばしをしてしまうと、次章にて説明するように重い罰則が待ち受けています。
2.車庫飛ばしをしたときは重い罰則が待ち受ける
車庫飛ばしをした場合、「自動車の保管場所の確保に関する法律」には、下記のように記載されています。
第十七条 次の各号のいずれかに該当する者は、三月以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
一 第九条第一項の規定による公安委員会の命令に違反した者
二 第十一条第一項の規定に違反して道路上の場所を使用した者
2 次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。
一 自動車の保管場所に関する虚偽の書面を提出し、又は警察署長に自動車の保管場所に関する虚偽の通知を行わせて、第四条第一項の規定による処分を受けた者
二 第十一条第二項の規定に違反した者
3 次の各号のいずれかに該当する者は、十万円以下の罰金に処する。
一 第五条、第七条第一項(第十三条第四項において準用する場合を含む。)又は第十三条第三項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
二 第九条第六項の規定に違反した者
三 第十二条の規定による報告をせず、若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告をし、若しくは虚偽の資料を提出した者
簡単に説明すると、
- 3ヶ月以下の懲役
- 20万円以下の罰金
- 10万円以下の罰金
のいずれかに該当してしまうのです。
ただ申請した車庫地が異なるだけで、数十万円も取られていては「かなり損」だと思いますよね。
とはいえ車庫証明や使用の本拠に関しては、「公道などに駐車させない対策」として申請させていますので、必ず正しい位置を申請しなければならないのです。
しかし現実的に考えると、実は「車庫飛ばしはほとんどバレない」ということができます。
3.現実的に考えると車庫飛ばしは「バレない」と思っても良い
車庫飛ばしはほとんどの場合、バレません。
というのも車を購入して車両情報を陸運支局に登録するとき、実はそこまで具体的かつ詳細に調べられることはないからです。
JAMA(一般社団法人日本自動車工業会)によれば、日本にある車の台数は7,662万台とのこと。
これだけの数の自動車の保管場所を、いちいち厳密にチェックすることはどうしても無理なのです。
そのため「初回に申請された情報を警察がチェックするのみ」であり、もっというと警察から委託された業者が「保管場所に止めるスペースがあるかどうか」しかチェックしていません。
その結果、スペースさえ空いていれば車庫飛ばし状態かどうかなど、あまり関係ないのです。
ただし例外的に車庫飛ばしがバレやすいケースもあります。
例外的にバレやすいケース
車庫飛ばしが例外的にバレてしまいやすいケースは、下記に挙げた3つです。
- 明らかに車庫地が使用の本拠ではないと分かる場合
- 排ガス規制逃れをしている可能性が高いと思われる場合
- 有名人である場合
それぞれ以下に分けて説明していきましょう。
リスク1.明らかに車庫地が使用の本拠ではないと分かる場合
「明らかに分かる」という状態が分かりませんよね。
この状態は
- 登録時に提出した住民票や印鑑証明の住所とかけ離れている
- 別の地域で保管しなければならない状態が説明できない(例えば転勤など)
- 住所が記載された郵便物や水道光熱費の領収書などが証拠として提出できない
ということを指しています。
つまり「住んでいる、仕様の本拠となっている実態が無い」ということですね。
この場合には、車庫飛ばしとして罰せられる可能性が高いです。
リスク2.排ガス規制逃れをしている可能性が高いと思われる場合
排ガス規制とは、ディーゼルエンジンしか関係ないと思って問題ありません。
というのもディーゼルエンジンの排気ガスは「かなり有害」として認識されており、環境汚染を防ぐために「都市圏の多くでは古いディーゼルエンジンの車は登録ができない」ということになっているのです。
そのため古いディーゼルエンジンの車に関しては、よく田舎の排ガス規制外の地域に車庫飛ばしをします。
とはいえ陸運支局もバカではありませんから
- 古いディーゼルエンジンの車がこのタイミングで田舎に使用の本拠を変更した
- 古いディーゼルエンジンの車の使用者が変更され、仕様の本拠が変わった
という場合にはマークされ、後に車庫飛ばしとして罰せられる可能性があります。
ちなみに「古いディーゼルエンジンの車」とは、ザックリ言うと15~20年落ちの個体ですから、ほとんどの人には当てはまらないと思って大丈夫です。
リスク3.有名人である場合
スポーツ選手やテレビタレントなど、有名人の場合にも車庫飛ばしはバレやすいと言えます。
なぜなら、車庫飛ばしをしたとして罰することができればニュースになり、日本中に「車庫飛ばしをするのは怖い」と思わせることができるからです。
つまり「見せしめ」的な意味合いがあるのです。
以上の説明から、車庫飛ばしはバレないが、もしあなたがバレるとしたら「明らかに車庫飛ばしをすると分かる場合のみ」だということが分かりましたよね。
そのため特別に「車庫飛ばしをしてやろう!」としない限り、バレることはありませんし、罰金などを支払う必要もなくなります。
とはいえリスクはゼロではありませんから、最後に「知らずに車庫飛ばしをしているかもしれないケース」について紹介しておきましょう。
4.車庫飛ばしは知らずにしている可能性がある3つのケース
実は下記3つのケースでは、車庫飛ばしを知らずにしている可能性があります。
- 引越し
- 親族間での譲渡
- 排ガス規制地域で、ディーラーに任せた
それぞれ簡単に説明していきましょう。
ケース1.引越し
引っ越しをした場合、仕様の本拠の位置と車庫の位置も必然的に変わってしまいます。
その場合、厳密に言うと「車庫飛ばし状態」と見られます。
ただしわざと車庫飛ばしをしている状態にはならないため、基本的には「バレる可能性はほとんどゼロ」と思っても問題ありません。
ケース2.親族間での譲渡
親族間で譲渡し、名義変更をせずに「車だけ子供が乗っている」という場合にも、車庫飛ばし状態と見なされる可能性があります。
とはいえコチラに関しても、わざと車庫飛ばしをしている状態にはならないため、基本的にバレる可能性は極めてゼロに近いと思っても大丈夫です。
ケース3.排ガス規制地域で、ディーラーに任せた
排ガス規制地域にいてディーゼルエンジンの車を所有している場合、ディーラーとしては「新車に買い替えさせたい」と思っています。
しかし車は金額が高いですから、簡単に買い替えはできず「今の車を乗り続けたい」と思いますよね。
そのとき気の良い営業マンであれば「では、コチラで登録事項を変更しておきますね!」と言ってくれるケースがあります。
実はその言葉、排ガス規制逃れのためにディーラーが自ら車庫飛ばしを提案しているようなものなのです。
そして任せっきりで手続きを済ませると、知らず知らずのうちに車庫飛ばし状態になってしまいます。
その場合、ケースバイケースですが「バレる可能性は五分五分」と思った方が良いでしょう。
ちなみに金銭的な問題はもちろんあるのですが、筆者としてはリスク回避のために買い替えをオススメしています。
5.まとめ
以上、車庫飛ばしに関する解説を終了しますが、最後に当ページの内容をまとめておきましょう。
- 車庫飛ばしとは車検証上の使用の本拠の位置とまったく異なる場所に、車庫を用意していること
- 車庫飛ばしをすると最高で20万円もの罰金や、3ヶ月以下の懲役が科せられる
- とはいえ車庫飛ばしがバレる可能性は極めて低く、わざと車庫飛ばしをしない限りバレることはほとんどない
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