自動車保険を契約する際に、基本補償や特約って、すごくたくさんの項目がありますよね。
皆さんはすべての項目を理解して吟味して選択していますか?
車両保険や年齢特約など「ズバリその名の通り」という項目はまだいいのですが、中には一体何を補償してくれるものなのかよくわからない項目もあって、そういう項目って何となく勧められるまま契約してしまう人も多いと思います。
「人身傷害保険」もその1つではないでしょうか。※保険会社によっては「人身傷害補償」や「人身傷害特約」と言うこともあります。
人身傷害保険は、事故を起こしてしまった方の、その後の人生を大きく変える可能性のある、とっても重要な補償。
保険会社によって必須・任意は異なるため、付けないこともできますし、補償金額を抑えて設定することもできます。
ただ、必要とされている補償金額は年齢や家族構成によっても大きく違い、単純に保険料を抑えたいからと言って安く設定していると、いざというときに後悔してしまうかもしれません。
そこで、今回は、わかりにくいけどとっても大事な補償「人身傷害保険」について、その補償の具体的な内容と補償金額の決め方を詳しく紹介したいと思います。
ちなみに、筆者は35歳2人の子持ちですが、3,000万円の設定をしています。
もっと言うと、筆者の場合は、人身傷害保険は3,000万円がベストと考えています!
その理由についても、後ほど詳しくお伝えしますね。
最後まで読んでいただけたら、きっと次の自動車保険契約の際には、自信をもって人身傷害保険を選ぶことができるようになるはずです。これを機に「よくわからないから勧められるまま…」から卒業しましょう。
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1.わかりにくいけど大事な補償「人身傷害保険」ってなに?
冒頭でもお伝えしましたが、人身傷害保険は「少しわかりにくいけど大事な補償」です。
まずは、人身傷害保険はどういった補償か正しく理解することから始めましょう。
まずは知りたい!人身傷害保険とは
人身傷害保険とは、契約車両に乗車中の方が事故で死傷した場合などに、治療費や休業損害、精神的損害など、実際の損害額に対して保険金が支払われる保険。
もっと砕いて言うと、事故で自分や搭乗者がケガしたときの治療費や休業損害、万が一、死んでしまったときの遺族へのお金を支払ってくれるというものです。
保険会社によって多少異なりますが、具体的な補償範囲は以下の通り。
<ケガ>
- 治療費、入院費、通院のための交通費、治療中の休業損害、慰謝料(精神的な損害)
- 後遺症が残る場合は、逸失利益(本来働いて得られるはずだった収入等)や介護費用…など
<死亡>
- 逸失利益(本来働いて得られるはずだった収入等)、葬儀費…など
なんとなくイメージはつきましたでしょうか?
ただ、これだけ聞くと、この場合はどうなの?これって何?と、更に疑問が沸く方もいらっしゃるかと思います。
では次に、筆者が自動車保険の相談に乗ったときによくされる質問をご紹介します。
もっと知りたい!人身傷害保険のよくある質問
筆者が人身傷害保険について、よく質問されることをまとめてみました。
補償金額の決め方を早く知りたい!という方は、「2.いくらを選べばいいの?補償金額の決め方」をご覧ください。
人身傷害保険の8つのよくある質問
- 損害額ってどうやって算出されるの?
- 相手のある事故だった場合はどうなるの?
- 設定した補償金額がすべて支払われるの?
- 一緒に乗っていた人の補償は?
- 逸失利益って何?
- 搭乗者傷害保険とは何が違うの?
- 対人賠償とは何が違うの?
- 人身傷害保険ナシってどう?
それでは、1つずつ見ていきましょう。
損害額ってどうやって算出されるの?
損害額は保険会社の基準に従って算出されますので、同じ事故でもその事故で被保険者や搭乗者が被ったとされる損害額は保険会社によって多少異なります。
「まずは知りたい!人身傷害保険とは」でも紹介した通り、この損害額には車両や破損物の復旧費用などは含まれず、あくまでも事故にあった方自身を対象に算出されます。
相手のある事故だった場合はどうなるの?
人身傷害保険は、過失割合に関係なく、すべての賠償額が支払われます。
例えば、損害額が3,000万円だった事故で、過失割合が相手:自分=7:3だったとします。
この場合、もし人身傷害保険を付けていなければ、自分の過失である900万円は自己負担となりますし、もし相手が自動車保険に加入していなかったら、相手の過失である2,100万円も裁判だのなんだのと支払いに長期間かかってしまうことがあります。
人身傷害保険を付けていれば、示談交渉が長期になっても、すぐにすべての賠償額が保険会社から支払われます。
設定した補償金額がすべて支払われるの?
算出された損害額が設定した補償金額を下回る場合は、損害額までしか支払われません。
反対に、算出された損害額が補償金額を超えた場合は、補償金額が上限いっぱいまで支払われます。
- <例1>損害額が3,000万円、補償金額が5,000万円→3,000万円支払われる
- <例2>損害額が5,000万円、補償金額が3,000万円→3,000万円支払われる
一緒に乗っていた人の補償は?
人身傷害保険の補償対象は「被保険者」と「搭乗者」。一緒に乗っていた方も搭乗者として補償の対象となります。
また、契約時に設定した補償金額は1名ごとの保険金額ですので、例えば、5,000万円に補償金額を設定している被保険者が、2名で乗っている際に事故にあったとしても、2,500万円ずつではなく、5,000万円ずつ支払われます。
逸失利益って何?
逸失利益とは「事故にあっていなければ将来にわたって得られるはずだった利益」です。
事故で休業したり、後遺症が残ってしまって退職せざるを得なかった場合に、損害とみなされて補償されます。
搭乗者傷害保険とは何が違うの?
簡単にご説明すると以下の違いがあります。
- 人身傷害保険…実際の損害額が支払われる
- 搭乗者傷害保険…ケガの部位や症状に応じて保険会社が定める金額が支払われる
人身傷害保険にもケガの治療費が含まれますので、搭乗者傷害保険は人身傷害保険に上乗せして治療費をもらえるもの(どちらも付けていた場合)、とイメージしていただければいいかと思います。
対人賠償とは何が違うの?
対人賠償は、事故の相手に支払う賠償金の補償です。
反対に、自分や搭乗者に対して支払われるのが、人身傷害保険です。
人身傷害保険ナシってどう?
これは筆者の見解になりますが、人身傷害保険はまずつけておいた方がいいと考えています。
医療保険で補償されるから大丈夫、と考える方も多いかもしれませんが、医療保険は入院日額や手術給付金という形で補償され、通院だけで治療を行う場合、補償対象外になる可能性があるためです。
また、最近では休業中の収入を保障してくれる就業不能保険も増えてきましたが、まだまだマイナー。
休業補償もしてくれる人身傷害保険は、自動車事故の損害を幅広く補償してくれるので、必須と筆者は考えています。
いかがでしょう、まずは人身傷害保険について、じっくりと理解をしていただけたでしょうか?
では次は、そんな人身傷害保険をいくらに設定するのがいいのか、補償金額の決め方を見ていきたいと思います。
2.いくらを選べばいいの?補償金額の決め方
冒頭でも少し触れたように、人身傷害保険の補償金額は、年齢や家族構成によって異なりますので、一概に「いくらが正解」と言うことはできません。
そこで、まず、補償すべき自動車事故の損害額がどのくらいなのか、その目安をご紹介します。
自動車事故の損害額の目安
自動車事故の損害額目安は、保険会社によって多少異なりますが、ホームページで損害額目安を公表している、ソニー損保、おとなの自動車保険(セゾン自動車火災)、チューリッヒから平均値を取るとこのようになります。
年齢 | 不要 | 死亡した場合 | 重度後遺障害の場合 |
---|---|---|---|
25歳 | 扶養あり | 6,500万円 | 1億3,000万円 |
扶養なし | 5,500万円 | ||
35歳 | 扶養あり | 7,500万円 | 1億6,000万円 |
扶養なし | 6,500万円 | ||
45歳 | 扶養あり | 7,500万円 | 1億5,000万円 |
扶養なし | 6,500万円 | ||
55歳 | 扶養あり | 6,500万円 | 1億3,000万円 |
扶養なし | 5,500万円 |
やはり働き盛りで子どもも小さい35歳や45歳の方は、相当な損害額になるようですね。
筆者の場合、「35歳」×「扶養あり」なので、死亡したときに7,500万円、重度後遺障害の場合は1億6,000万円の損害額。
なんだか途方もない数字ですが、補償金額を決める上では、1つの指標になるのではないでしょうか。
ちなみに、今回参考にした3社の公表損害額そのままはこちらです。
また、ソニー損保はホームページ上で損害額のシミュレーションができるようになっています。
こちらも参考にしてみてください。
でも、こういった金額を見ると、「公表されている損害額もシミュレーションで教えてくれる損害額も、保険会社が高い設定をしてもらうためにちょっと大げさな数字にしているのでは?」と、思ってしまいませんか?
実は筆者は、かなり疑って見ています。
ですので、次はみんなが実際に選んでいる人身傷害保険の補償金額も参考にしてみましょう。
みんなに選ばれている補償金額
こちらも、おとなの自動車保険(セゾン自動車火災)とソニー損保が加入者の設定金額割合を公表していましたので、参考にしてみますと、どちらも最低金額の3,000万円以下に設定している人が50%超という結果になっています。
損害額が5,000万円以上の方がほとんどなのに、補償金額は3,000万円の方が多数、ということですね。
この3,000万円という設定金額、実は筆者の場合もベストだと考えています。
その理由は、生命保険と遺族年金にあります。次は、そこを詳しくご説明します。
筆者が人身傷害保険を3,000万円に設定した理由
先ほどの損害額の例でみると、「35歳」×「扶養あり」の場合、死亡したときに7,500万円が損害額となります。
この7,500万円をどうやってまかなうか。
もちろん、人身傷害保険だけでまかなえればそれに越したことはありませんが、そうなると当然、自動車保険の保険料が高くなります。
それなら、自動車保険とは別に入っている「生命保険」と、公的に支給される「遺族年金」のセットでまかなえればいいのでは、と考えました。
筆者の場合、生命保険を5,000万円にしていますので、
生命保険5,000万円+人身傷害保険3,000万円=8,000万円
となり、それだけで必要とされる7,500万円の損害額をまかなうことができるのです。
もちろんこれだけで残された家族が一生涯不自由なく暮らしていくことは難しいとは思いますが、15年で2,000万円前後支給される遺族年金(遺族基礎年金+遺族厚生年金)を加えて考えると、
生命保険5,000万円+人身傷害保険3,000万円+遺族年金2,000万円=1億円
となり、人身傷害保険を3,000万円に抑えた設定でも、生命保険と遺族年金によって損害額+αをまかなうことができるという結論に達したのです。
※遺族年金の支払い条件・金額も年齢や扶養家族、就業形態によって異なるので、ご注意ください。
筆者の補償金額が十分と思うかどうかは人それぞれですが、人身傷害保険の補償金額を考える際に、損害額を自動車保険以外でまかなうこともしっかりと視野に入れて考えることで、自動車保険の保険料を抑えることもできるのではないでしょうか。
3.まとめ
いかがでしたでしたか?人身傷害保険が被保険者はもちろん、搭乗者や家族の人生を左右するかもしれない大事な補償ということをご理解いただけましたでしょうか?
人身傷害保険についての理解を深めることと共に、「よくわからないから勧められるまま…」ではなく「納得して賢く」保険を選択するお手伝いになれば幸いです。
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